高級レストランのサービスマンから、屋台の焼き菓子屋として独立

都内の高級レストランでサービスマンとして働いた田中謙吾さんは、2009年秋、焼き菓子とコーヒーを売る小さな屋台を始めた。表参道に半年間出店した後、現在は六本木ヒルズ・ウェストウォーク2階に出店中である(営業時間:11:00~22:00)。
人気商品は、パティシエの田中伸江さんがスイス・ジュネーブで修行した際に習得した「ボンボンキャラメル」。トロリとしたキャラメルをチョコレートで包んだお菓子を、まるでキャンディーのように棒に刺している。
何本も集めると、可愛らしい花束のようになる。イチゴ、アンズ、バナナ、パッション、グリオットチェリーの5種類は、各210円。優しい色合いのマカロンは6種類だ(210円~250円)。
モナコの富裕層に刺激を受け、レストランオーナーを目指す
子どもの頃から料理を作ることが好きだった田中さんは、高校卒業後、調理師専門学校に進んだ。1年間国内で料理を学んだ後、フランスへ留学、レストランのサービスマンとして1年間修行。もともと料理人になろうと思っていたが、渡仏中にサービスマンになることを決めた。
きっかけは、フランス領モナコで目にした、世界中のお金持ち達の暮らしぶり。モナコの街の中心部にあるカジノには、見たこともない車がズラリと並び、タキシードとイブニングドレスを着た紳士、淑女が入っていく。

「僕はTシャツと短パンで、カジノの向かいにある映画館に出かけていました。きらびやかに輝くカジノを見て、すごく惨めな気分になりました。僕はどのようにすれば、あちら側に回れるだろうと思いました。日本に帰って料理人になっても、有名になれるのはひと握り。でも、レストランオーナーになれば、今は無理でも将来的には行けるのではないかと考えました。オーナーになる近道は、サービスマンとして働いて組織を作ることを学び、スタッフを動かせるようになることだと思ったのです」
またフランスで出会ったサービスマンの美しい接客に憧れた。
「日本でレストランのサービスマンは“お運びさん”としか思われていませんが、ヨーロッパ文化では料理人とサービスマンは社会的地位の高い職業です。物腰の美しさ、客側が欲しいものを察する技術、彼らの細やかな気遣いに憧れました」(次ページへ続く)














