2008年10月10日、『転職は1億円損をする』(角川oneテーマ21) という衝撃的なタイトルの新書が出版されました。1億円ってどういう計算? 転職する人はみんな損をするの?などの疑問を、著者の石渡嶺司さんにぶつけてみました。
 



ホントに転職すると1億円損をするんですか?

――「1億円損をする」とはまた衝撃的なタイトルですが。

 すでに書評などでも取り上げていただいているとおり、「1億円」の算出の仕方については、少し極端な例も含めています。しかし、とくに読んでほしいターゲットに届けるには、このくらいのインパクトのあるタイトルが必要だと思いました。

――ターゲットといいますと?

 転職に適さない若者たちですね。本来の転職とは、スキルや経験を評価されて「ウチの会社のここの部分にどうしても必要だから来てほしい」と請われて会社を変わるものです。ところが、いま転職市場が賑わい、スキルも経験も浅い若い人材が必要とされているのは、団塊の世代の退出によって人が足りなくなり、少し前の「就職氷河期」に新卒採用を控えたことが響いてきたからです。しかし、人が足りない状況は、いつまでも続くものではありませんし、「人が足りない」という理由で採用されて、いまの職場環境よりも改善されるかは疑問です。

――「1億円」という数字を出して、伝えたかったことはなんですか?

 1億円の内訳は、交通費や住宅補助、退職金といったものです。今勤めている企業で、当然のものとして享受しているものが、転職先で必ずしももらえるとは限りません。「年収」と「業務内容」だけを見て転職をする人が多いのですが、会社で働くということには、こうした諸手当や「ランチをする場所」といった周辺環境も含まれます。転職してから、前の会社は恵まれていた、と気づく人も多いのです。その場にいては気づけない価値を、1億円という金額で表現したわけです。

忙しい上司よりも転職エージェントを身近に感じてしまうワケ

――「転職に適さない若者たち」が、人生を大きく左右する転職に、簡単に踏み切ってしまうのはなぜでしょうか。

 今の若い世代は、たしかに職場環境に恵まれていないというのもあります。少し年が上で気軽に相談できる先輩社員も少ないし、上司はプレイングマネージャーで、自分の仕事が忙しく、若手の面倒をみている暇がありません。

 経験が少なければ、それほど責任のない仕事がまわってくるのですが、忙しい上司はその仕事の意味を説明してはくれない。そうして、「つまらない雑用をやらされている」と感じてしまうんです。そこに、「やりがい」を問う転職エージェントの広告が飛び込んできて、親身に話を聞いてもらえたら、かまってくれない上司より、初対面に近くても自分にかまってくれる転職エージェントを信じてしまうわけです。

――転職を考える理由の1つに、上司と人間関係に不満を抱えていることがあります。お話いただいた職場環境のもとで、どうしたら改善できるでしょうか。

 忙しいとはいえ、上司は部下の相談に乗るのも仕事の1つですし、相談されて悪い気はしないと思います。ただ、聞き方に工夫は必要だと思いますけれど。あとは、一度相談したときに邪険に扱われたからといって、そこでスネないことですね(笑) パワハラといわれるような上司は、ゼロではないでしょうが、少ないと思います。


 
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INDEX
『転職は1億円損をする』の著者に聞く 転職して損をしないか見極める方法
ホントに転職すると1億円損をするんですか?

忙しい上司よりも転職エージェントを身近に感じてしまうワケ

自分にその年収をもらう価値があるかを問え

雑用の延長線上に今の自分がいる





著者プロフィール
CAREERzine編集部(キャリアジンヘンシュウブ)

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