医者の不養生か紺屋の白袴……キャリアコンサルタントの転職活動
2008年秋のリーマンショックの発生により、それまで3年ほど好調だった中途採用(転職)市場は急激に縮んだ。そのあおりで、Webや交通機関に多数の広告を出していた大手人材紹介会社の業績も急落し、各社で百人単位のキャリアコンサルタントがリストラを迫られたことは、新聞でも取り上げられたのでご存じの方も多いと思う。
もっとも、こうした会社業績にかかわりなく、個人の業績不振などが理由で、キャリアコンサルタントが自身の転職を考えなければいけなくなる場面は少なからずある。そんなとき、普段は他人の相談に乗る「転職のプロ」がどのように自分の身を処するのかを、みなさんはご存じだろうか。
医者が病気になったとき、初めて患者の気持ちがわかる、なんて言われることがあるが、実はキャリアコンサルタントも、自分が転職しなければならない状況になってみて初めて転職者の気持ちがわかる、それこそ「医者の不養生」「紺屋の白袴」という面がないではない。
私は幸か不幸かリーマンショックによるリストラの波とは無縁だったが、実は個人的事情により、昨年秋から一足遅れの転職活動を経験することになった。そこで今回、おそらくこれまでにほとんど知られることのなかった、キャリアコンサルタント自身の転職活動について紹介することで、転職する側・させる側の背景事情を総括しつつ、本連載をしめさせていただくことにしたい。
キャリアコンサルタントは人材紹介会社を使わない?
さて、キャリアコンサルタント自身の転職活動の仕方について、業界外の人が持つであろう一番素朴な疑問といえば、「自分自身は人材紹介会社を使うのか」ということではないだろうか。私の周囲を見回すと、業界のウラまで知りすぎているために、自分が「商品化」されるのに抵抗があるとか、「転職のプロ」なのに自分の転職の面倒も自分で見られないと思われるのが恥ずかしい、といった極めて感情的な理由で、利用しない人たちが結構いる。
ちなみに私も、今回の転職活動は独力で情報収集し、自主応募に徹する方針を貫くことにしたのだが、その理由は上記とは異なっていた。今回、私は可能ならば人材紹介業を離れ、キャリアチェンジを図りたいというもくろみがあったのだが、アラフォーの私にとって、自ら『ブラック企業、世にはばかる』で書いたとおり、年齢にとにかくウルサイ日本の転職事情のもとで、いまさら未経験の業種・職種でブラック度合いの薄い企業に転職することはほぼ不可能だった。
そんな状況で人材紹介会社を使っても、どうせ「転職可能なのは同業界ですね」と査定され、彼らにとって紹介可能な企業しか選択肢に浮上してこないことは明らかだった。それなら時間の無駄だと考えたからだ。(次ページへ続く)



