EQは誰もが普段から使っている能力

EQ理論提唱者のピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によると、EQという能力は「感情の識別」「感情の利用」「感情の理解」「感情の調整」の4つのブランチ(パート)から構成される……というと何だか難しそうだが、高山氏の説明は実にシンプルで明快だ。
「EQとは、ひと言でいえば『感情をうまく使う能力』。たとえば、悲しい気持ちを楽しく変える、ネガティブな気分をポジティブに変える、やる気のないときにやる気を出すといったように、必要なときに自分の感情をコントロールしたり、必要な感情を作り出すことのできる能力のことです。これは決して特別なものではありません。実は、誰もが普段の生活の中で何気なくEQを発揮しているのです」
極端な例だが、仕事の関係で誰かの代わりに葬儀に参列するような場合、自分に近しい人が亡くなったわけではないので、自然に悲しい気持ちにはならないはず。それでも多くの人は、その場に相応しい「悲しい感情を作っている」のではないだろうか。このようなときにも、我々はEQを使っているというわけだ。
また、俗語としてすっかり定着した感のある「KY」(空気が読めないの略)という言葉も、EQと大いに関係があるという。
「僕はよく、KYは『気持ちが読めない』という意味だといっています。気持ちが読めないのは、EQ理論でいうところの『感情の識別』ができないということ。つまり、KYな人=EQを使っていない人、ということですね」
EQはすべての能力のOS、デキる人は感情をうまく使っている!
EQを理解する上での重要なポイントの1つが、「感情は行動に影響を与える」ということ。EQの能力が高い人は、自分の「今の感情の状態」を正しく認識し、それを上手にコントロールできるので、自分にとって適切な行動をとることが可能となる。また、相手の「今の感情の状態」を正しく認識して、それに配慮した適切な対応ができるので、対人コミュニケーションもうまくいく。これは、まさに「デキるビジネスパーソンの条件」ともいえるだろう。

「周りから優秀といわれ、尊敬され、実際に成果をあげている人が兼ね備えている能力とは何か?という議論をすると、IQ、スキル、経験などがまず挙がります。でも、それだけでは足りない。志や情熱、達成意欲、そして、人の気持ちが理解できる、相手の立場に立って物事を考えることができる、周囲を元気にさせるといった人間的魅力も必要です。これらを支える能力こそが、EQです」
高山氏は、「コンピュータにたとえると、EQはすべての能力のOS」だという。つまり、IQやスキルなどは「アプリケーション」であり、基本ソフトであるEQがうまく機能してはじめて、人はそれらの能力を最大限に発揮できるということだ。
「OSがボロボロだと、アプリケーションはまともに動きません。たとえば、相手の感情を理解せずに知識を使うような人は、頭はいいけど『鼻につく』『嫌なヤツ』などといわれてしまい、せっかくの知識も相手に伝わりません。これ対して、デキる人はOSがしっかりしています。EQを発揮して、相手の感情を理解した上で知識を使い、その人のレベルに合わせて分かりやすく説明できるので、知識も非常に伝わりやすいのです」(次ページへ続く)



