SEから人事グループへの異動命令 この転機をどう乗り切る?
Yさんは大学を卒業後、都内のシステム開発会社に就職。人事・勤務システムの開発部門に配属されました。マイクロソフト認定資格といった技術者向けベンダー資格も取得し、繁忙期には会社に泊まり込んで作業するなど、SEとして熱心に仕事をしてきました。
ところが入社7年目の秋に転機が訪れます。突然、総務部への異動を命じられたのです。Yさんの異動先は、人事グループの給与担当者でした。
「開発部門からスタッフ部門への異動は本当にショックでした。仕事のやり方もまったく違いますし、何より開発の現場を離れることで、これまで身につけてきたスキルは確実に落ちてしまいます。将来、運良く開発部門に戻れたとしても、技術者としてブランクのある私では仕事についていくこともままならないでしょう。さすがの私もその日の夜は駅のトイレで泣きました」
その後、給与担当者として一から業務を覚える日々が続いたYさん。SE時代の仕事のやり方とのギャップにかなり苦しんだといいます。
「総務部の人たちが鼻歌交じりに難なくこなしている仕事でも、開発出身の私にはさっぱり勝手がわからない。会社に行くのがだんだんつらくなってきました」
そんな意気消沈のYさんを救ったのは、総務部長のひと言でした。
「社員食堂でたまたま部長と席が隣り合わせになったんです。最初は部長が隣にいては食べずらいな、と思っていたのですが、『Yくん、仕事には慣れた?』なんて、思いのほか気さくに声をかけてくれまして。それで思わず、SEから総務に異動してつらい胸の内を部長に話したんです」
部長も開発部門出身。Yさんのつらさに理解を示すとともに、こんなアドバイスをしてくれたといいます。
「総務部は、売上や予算、人事、経営戦略など、会社全体の方向性を扱っているところだよ。開発部門にいればSEとしてのスキルを磨くことはできるが、広い視野で組織を見る目を養うことはできない。将来、マネージャーとして部署全体を管理したり、システムコンサルタントとして顧客企業のニーズを引き出すような仕事をしたいのであれば、総務で養われた『会社全体を見る目』は必ず役立つはずだよ」
部長の言葉にYさんは開眼しました。
「総務部門にいることは、組織を知るための絶好のチャンスなのだという考えに変わりました。当時人事グループに所属していましたから、『人事といえば社会保険労務士』ということで、社労士資格の勉強を始めることにしました」(次ページへ続く)













